姫路城
姫路城とは
歴史
-
1580年:豊臣秀吉が三層の天守を築き、城郭としての基礎を整備。
-
1601年~1609年: 池田輝政が現在の大規模な城郭を完成させます。以降、江戸時代には本多氏や酒井氏などが城主を務めました。
-
1993年: 日本初の世界文化遺産に登録され、「不戦・不滅の城」として知られています。
構造
-
連立式天守: 大天守(5重6階)と3つの小天守(東、西、乾)が渡櫓で繋がる構造。防御と美観を両立した設計。
-
白漆喰総塗籠造: 白い外壁が「白鷺城」の名の由来となり、美しさと耐火性を兼ね備える。
-
螺旋状の縄張: 天守を中心に曲輪(くるわ)が螺旋状に配置され、迷路のような構造で侵入者を混乱させる仕組み。
-
防御設備: 石落とし、矢狭間、鉄砲狭間など多彩な軍事的工夫が施されています。
他のお城にはない特徴
-
①現存する最大規模の天守: 高さ31.5m、大天守と小天守群が連結した連立式天守は日本建築史上でも類を見ません。
-
②保存状態の良さ: 約100棟の建造物が現存し、多くが国宝や重要文化財に指定されています。
-
③螺旋式縄張: 江戸城と並ぶ複雑な防御設計で、侵入者を迷わせる巧妙な構造になっています。
-
④東大柱と西大柱: 大天守内部に地下から最上階まで通る2本の巨大柱で耐震性を向上。築城当時から残る貴重な遺構です。この巨大な柱は天守の内部を登っていくと見ることができます。
*なお、姫路城では、犬山城などと違い天守の最上階に行っても外に出るようなテラスのような作りはありません。
姫路城の防御構造と特徴
姫路城はその美しさの裏に、複数の防御機能を備えた日本有数の城郭です。堀や石垣、複雑な曲輪や通路、狭間や石落とし、連立天守など、あらゆる部分に敵の攻撃を防ぐための工夫が凝らされています。
1. 堀と石垣
-
三重の堀
姫路城は「内堀」「中堀」「外堀」の三重の堀を用いることにより防御をより堅固にしています。 -
石垣
石垣は「扇の勾配」と呼ばれる美しい曲線を描きつつも、非常に急な傾斜で築かれており、敵が登ってくるのが難しい構造になっています。また、石垣の高さや伏線も十分にあり、攻撃に対する耐久性も高くなっています。
*姫路城の堀は、外堀と中堀が明治時代に埋められ、現在は内堀だけが残っている。
【国道2号線と姫路城】
-
現在の国道2号線は、かつて姫路城の「中堀」があった場所を設置して整備された道路。中堀の跡地が国道2号線として利用されるようになりました。
-
・中堀の歴史的役割
姫路城の中堀は、外堀と内堀中の位置し、城の防御と城下町の区画を担っていました。 中堀には木橋が架けられ、門や石垣などの遺構が存在していました。現在、中堀の石垣や橋台の遺跡は発掘調査で確認され、地中に保存されています。国道2号線沿いには、当時の石垣が一部残っている場所もあります。 -
・外堀と関係
外堀は国道2号線よりさらに南、姫路駅周辺に位置していました。
2. 曲輪(くるわ)と複雑な通路
-
渦郭式(うずかくしき)構造
姫路城は本丸を中心に、二の丸・三の丸などの曲輪が渦巻き状態に配置されています。これにより、敵は直進できず、城内を複雑に移動しなければなりません。 -
迷路状の通路
天守へ向かう道は幾度も曲がり、行き止まりや袋小路も多く設けられています。敵兵は進路が見通しがたく、進軍速度も大幅に低下します。
3. 門と枡形(ますがた)
-
門の配置
各門は石垣や塀で遮られており、外部からは位置や構造が分かりにくくなっています。 -
枡形(ますがた)
門の内側には四角い空間(枡形)が設けられており、ここに敵兵を誘って四方から攻撃できる仕組みです。
4.狭間(さま)・石落とし
-
狭間(さま)
城壁や櫓には、弓や鉄砲を撃つための穴(狭間)が多数設けられています。丸・三角・四角など様々な形状があり、効果的な防御射撃が可能です。 -
石落とし
石垣や櫓の一部には、下に向かって石や熱湯、油などを落とすための「石落とし」が設けられています。これにより、石垣を登る敵兵を攻撃できます。
5. 天守の防御性
-
連立式天守
姫路城の天守は大小5つの天守が渡櫓で連結された「連立式天守」です。 複数の天守が連携し、どこから攻めても防御できる構造です。 -
天守内部の工夫
階段は急勾配で静か、敵兵が一度に多人数で挑もうとしています。また、長期籠城に備え、倉庫や井戸、台所、厠(トイレ)などの設備も充実しています。
6. その他の防御策
-
狭い門や低い天井
敵兵が一度に大人数で襲えないよう、門や通路は細く、天井も低く設計されています。 -
死角や袋小路
袋小路や死角が多く設けられ、待機や横からの攻撃がしやすい構造となっています。
|姫路城が白い理由
姫路城では、他の城とは異なり白い漆喰が塗られ白い外観になっています。
姫路城の漆喰の塗り方が他の城と比べて特別な理由は以下の点にあります。
-
①白漆喰総塗籠造: 外壁全体を白漆喰で塗り込める「総塗籠造」という手法が採用されており、これにより城全体が真っ白な外観を持つようになっています。他の城では部分的に漆喰を使用することが多いですが、姫路城は全面的に使用している点で特異です。
-
②美と防御の両立: 白漆喰は防火性や耐久性を備えつつ、戦国時代から江戸時代への移行期において「美による威嚇」を目的として採用されました。この美観と機能性を兼ね備えた設計思想が他城とは異なる特徴です。
|ロケ地としての姫路城
姫路城は、テレビ時代劇「暴れん坊将軍」の主要なロケ地として知られています。このドラマでは、姫路城が江戸城として頻繁に登場し、その美しい白い天守や西の丸などが撮影に利用されました。
主演の松平健さんは、姫路城での撮影に深い思い入れがあり、特にその壮大な造形美と白さに感銘を受けたと語っています。撮影は主に「将軍坂」や好古園などで行われ、姫路城の天守には登らず、そのたたずまいを楽しむことが多かったそうです。
また、「暴れん坊将軍」のファンにとって姫路城は特別な場所であり、ドラマの象徴的な存在となっています。姫路城の歴史的価値とドラマの人気が融合し、多くの人々を魅了しています。
