城の構えの種類
城の構えには、立地や設計に応じて多様な種類があり、それぞれの地形や時代背景、防御目的に合わせて工夫されています。
代表的なものには「平城」「山城」「平山城」「水城」などの位置分類や、「梯郭式」「連郭式」「輪郭式」「渦郭式」「惣構え」などの縄張り分類があります。
2.縄張り(設計)による分類
1)輪郭式(りんかくしき)
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本丸を中心に、二の丸・三の丸が「回」の字型に取り囲む構成。本丸を中心に二の丸・三の丸など同心円状に配置される。
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長所:四方の防御バランスが良く、理想的な配置とされる。特に平城に多い。
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短所:広い平地が必要で、地形の制約を受けやすい。
2) 梯郭式(ていかくしき)
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本丸の一方または三方を二の丸などが囲む構成。本丸はやや片寄った位置になることが多い。
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長所:自然地形(川や崖)を活かして防御力を高めやすい。平山城や山城に多い。
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短所:本丸背後が城外に近くなり、大砲などの遠距離攻撃には弱い。
3) 連郭式(れんかくしき)
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本丸・二の丸など主要な曲輪を一直線に連ねる構成。本丸・二の丸・三の丸が直線または連続して配置される。
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長所:山の尾根など細長い地形を活かせる。築城が比較的容易。
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短所:防御力が最も低く、敵に突破されやすい。
4)渦郭式(うずかくしき):
曲輪が渦巻き状に配置され、迷路のような構造となる方式。螺旋式ともいう。
例:江戸城など
5) 惣構え(そうがまえ)
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城だけでなく城下町全体を堀や土塁で囲む構え。
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長所:長期間の籠城や都市全体の防衛が可能。
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短所:大規模な工事と維持管理が必要。
6)その他の特殊な構え
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円郭式:曲輪を同心円状に配置。実例は少ない。
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群郭式:独立性の高い曲輪が林立する構成。例:知覧城(鹿児島県)
3.その他
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出丸・出城
本城から目立った位置に設けられた防御施設や小規模な城郭 -
曲輪(くるわ)
本丸・二の丸・三の丸など、城内を区画するための囲い
