小諸城

歴史

小諸城は長野県小諸市に位置する平山城で、築城年は1554年(天文23年)とされています。武田信玄が佐久地方への進出拠点として築き、山本勘助や馬場信房が設計に関わったと伝えられています。
その後、豊臣秀吉の天下統一後には仙石秀久が城主となり、近世的な城郭へ改修されました。明治維新後の廃城令により廃城となりましたが、旧藩士たちによって整備され、「懐古園」として公開されています。
 

構造

小諸城は千曲川の河岸段丘を利用した構造で、以下の特徴があります。

  • 「穴城」構造: 日本唯一の「穴城」と呼ばれ、本丸が最も低い位置にあり、大手門から本丸に向かって下る珍しい構造です。通常の城は高台に築かれますが、小諸城は逆であり、防御面で敵を意表を突く設計となっています。

  • 梯郭式(ていかくしき): 曲輪が段階的に配置されており、本丸の守りを千曲川の断崖や深い谷で補強しています。

  • 枡形構造: 城内には6ヶ所の枡形(屈曲部)があり、大軍の侵入を防ぐ工夫が施されています。

  • 石垣と断崖: 火山性台地に築かれたため、崩れやすい断崖が天然の要害として機能しています。石垣は野面積みであり、自然地形との調和が見られます。

 

他のお城にはない特徴

  1. ①日本唯一の「穴城」
    城下町より低い位置に築かれている点は全国的にも珍しく、「穴城」として知られています。この構造は敵を惑わせる効果があり、防御戦略上ユニークです。

  2. ②浅間山噴火による地形利用
    浅間山の火砕流によって形成された断崖や谷を巧みに活用し、天然の要害として設計されています。この地形は他の城には見られない特異性です。

  3. ③歴史的遺構と自然美の融合
    天守台や石垣など歴史的遺構が良好に保存されているほか、「懐古園」として整備されており、桜や紅葉など四季折々の自然美も楽しめます。

  4. ④文化財としての門
    大手門(三ノ門)は現存する重要文化財であり、江戸時代初期から残る貴重な建築物です。

 

見どころ

  • 国の重要文化財に指定されている「大手門」と「三の門」が現存し、戦国・江戸時代の城の面影を今に伝えています。

  • 石垣や堀、城跡の縄張りなど、地形を活かした防御構造を散策しながら体感できます。

  • 城跡公園の懐古園は四季折々の風景が美しく、観光スポットとしても人気です。

  • 関ヶ原の合戦時には仙石秀久の東軍拠点であり、西に真田家の上田城が見渡せる歴史的なロケーションもポイントです。

 
小諸城は独特な地形と設計思想を活かした防御力と美観を兼ね備えた名城として、日本100名城にも選ばれています。

懐古園とは

小諸城の懐古園は、小諸城の城跡を整備した市営の歴史公園で、自然と歴史、文化施設が調和した複合スポットです。

  • 明治4年(1871年)廃藩置県により廃城となった小諸城を、大正15年(1926年)に植栽設計の名匠・本多静六の手で、近代的な庭園・公園として整備し開園しました。園名の「懐古園」は徳川家達の筆による扁額が三の門に掲げられています。

  • 園内は旧城郭の馬場跡を中心に桜の木が多数植えられ、春の桜は「日本さくら名所100選」に選ばれています。秋は紅葉の名所としても知られ、多くの観光客で賑わいます。

見どころ

  • 国の重要文化財の「三の門」や「大手門」など、小諸城の歴史的建造物が保存されている点が魅力です。

  • 散策路は苔むした石垣や堀、季節ごとの自然の美しさを楽しめます。特に春の桜と秋の紅葉が絶景で、石垣と紅葉のコントラストは写真スポットとして有名です。

  • 園内には小諸市動物園(ライオンやペンギンなどが見られる)、児童遊園地、藤村記念館(詩人・島崎藤村ゆかりの展示)、小山敬三美術館、小諸市立郷土博物館(徴古館)など文化・レジャー施設も充実しています。

  • 懐古神社や徴古館では小諸城や地域の歴史資料、武具・書画などが展示されています。

  • 黒門橋や紅葉谷、富士見台、水の手展望台など散策中の見どころスポットが複数あります。

以上のように、小諸城址懐古園は歴史遺産を楽しみながら四季折々の自然美と多彩な文化施設、子どもも親しめる動物園・遊園地まで満喫できる観光名所となっています。

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