仙台城(青葉城)

歴史

仙台城(青葉城)は、1601年(慶長6年)に伊達政宗によって築かれた山城です。関ヶ原の戦い後、徳川家康の許可を得て青葉山(標高約130m)の中腹に建設されました。東側は広瀬川、西側は御裏林、南側は竜ノ口渓谷といった自然の地形を利用した「天然の要害」として知られています。築城時には防衛力を重視した設計がなされましたが、政宗没後には二の丸や三の丸が増築され、政治的・行政的拠点として機能しました。
 
江戸時代以降、太平の世に合わせて戦闘機能から統治機能へと移行し、城下町も整備されました。明治維新後の廃城令で多くの建物が失われましたが、本丸跡や石垣などが現存し、現在は観光地として親しまれています。
 

構造

仙台城は連郭式平山城で、以下の構造が特徴です。

  • 本丸: 青葉山中腹に位置し、防御力を重視した設計。本丸石垣には「切込接ぎ」技法が用いられています。

  • 二の丸・三の丸: 政宗没後に平地部分に増築され、藩庁や御殿として使用されました。

  • 虎口(こぐち): 城門周辺には複雑な枡形構造が採用され、防御力を強化。

  • 懸造り(かけづくり): 本丸東側には京都・清水寺を模した「眺瀛閣」があり、断崖からせり出す形で遠望を楽しめる設計でした。

  • 石垣: 発掘調査で複数期にわたる石垣構造が確認され、第1期は野面積み、第2期以降は打込接ぎ技法が使用されています。

他のお城にはない特徴

  1. ①天守閣の非設置
    仙台城には天守閣がありません。これは徳川家康への配慮とされており、代わりに本丸に御殿や櫓を配置して威厳を示しました。

  2. ②天然の要害
    広瀬川や竜ノ口渓谷など、自然地形を最大限活用した防御設計は「難攻不落」と称されます。他の城では人工的な堀や石垣が主流ですが、仙台城は自然地形との融合が際立っています。

  3. ③眺瀛閣(懸造り)
    本丸東側にあった眺瀛閣は断崖からせり出す形で建てられた物見櫓であり、清水寺を意識した設計は他城には見られない独特な美観を持っています。

  4. ④商業・交通との融合
    奥州街道や広瀬川・名取川の水運を活用し、商業発展と軍事拠点を両立させた点も仙台城ならではです。

 
仙台城はその歴史的価値と独特な構造から日本100名城にも選ばれており、伊達政宗の野心と知恵が詰まった名城です。

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